シブ大_映画音声解説ゼミ

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「ペコロスの母に会いに行く」トークレポート

2014年1月12日 ユーロスペース
「ペコロスの母に会いに行く」音声解説付き上映会 + トークショー
プロデューサー 井之原 尊 X 音声ガイド制作 松田高加子

先日、ユーロスペースにて開催された「ペコロスの母に会いに行く」音声解説付き上映後の
トークショーをテキストにしました。
作品の裏側が覗けるやり取りになっていますので、休憩のときにでも読んでみてください。


井之原プロデューサー:(以下P)皆様、本日はどうも寒い中お越いただきましてありがとうございます。
おかげさまでキネ旬邦画部門ベストテンで第1位になる事が出来ました。
まだ色んな方に見て頂きたいと思っていますので皆様にご協力頂ければなと思っております。
本日はよろしくお願いいたします。

松田:(以下 ま)音声ガイド付きという事で言葉自体も初めてという方もいるかもしれませんので、
まず、音声ガイドの説明を。
そもそもは視覚障害の方が映像だけで観せている部分があったりすると映画を理解しづらいことがありまして、
そういったニーズに応えるためのもの。
私は10年以上視覚障害の人達と実際に映画を見るという活動をしていて、
今は仕事として制作をしている状況でございます。

今日は、キネ旬でベスト1に輝いた作品という所でたくさんの方が来てくれるのではないかと思いまして、
普段あまり表に出すものではないんですけど、多くの目の見えてる人にも知ってもらわないと
こうゆうものは普及しないですので、プロデューサーも来て頂いて、
音声ガイドとはどういうものか作品を通じながらご紹介したいと思います。

私は台本を書いたんですね。ナレーターは森崎朋子さんという、
監督のご親戚ではないんですよ。
作品の編集の森崎さんの奥さんでいらっしゃる方で、アットホームな作りとなっております。

そういった解説の原稿を作成するというのは何回も何回も作品を見て、
セリフとセリフの間に本編を邪魔しないように最大限本編の音を活かすような形で書いていくんですね。
書きながら色んな事象や動作とか、表情をひもといて行く作業になるので
初見だと気づかないようなことろにもどんどん気づいていくわけです。
それを全部言えば良いのかと言うと、あんまり言い過ぎると遊びがなくなってしまうので、
言い過ぎない程度に、でも隠さない程度にというさじ加減で書いていきます。

実際に私が書いた中で苦労したシーンなどがありましたのでそういったものをご紹介しながら、
そこは実際どうだったかというのをプロデューサーに聞いていきたいと思います。

まず、最初から苦労しました。ハゲ頭から始まりますよね。
ハゲ押しだったんですよね?この作品は。

P:そうですね。
今回のテーマは認知症ということと、ハゲちゃびんという事は非常に重要なテーマだったので、
主演の岩松さんをチョイスするにあたって、ハゲてないんじゃないかという色んな意見もあったんです。
でもそこは現代科学の粋を集めて特殊メイク、及びCGという形でですね対応して、
みなさんに楽しんで頂けるハゲちゃびんが出来たんじゃないかと。
ビジュアルとして面白いようにハゲ押しで画を撮っていくイメージから作っていますので、
言葉に表すというのはなかなか難しいんじゃないかと思ってます。

ま:ありがとうございます。まさに難しかったのが竹中さんがちょいちょい目で面白い演技をされる
というか小さな動きをたくさんされて、全部拾いたいんでけど、
拾っちゃうと本筋から気がそれちゃうと言うか、それが結構難しかったなと思います。

P:そうですね。程よく拾ってもらって。
やっぱりピントを送ったりしてビジュアルでの所ですので、
そこはとなくハゲが連なってるんだよという感じはあったのではないんでしょうか?
僕も制作の方に顔出しというか、相談をしながらやっていたんですが、
全編通して聞くのは初めてだったので、なかなかうまく出来てるなと思って。

ま:冒頭が漫画から入ってそこからアニメーションに変わって、
そこからしばらくアニメーションの所を実際の岩松了さんの声で入っていくので、
そこでまず引っかかりました。

最初は「アニメに変わる」だけで止めてあったんですけど、
実際に制作の過程で視覚障害の方に来て頂いて、聞いて頂いたら、
そこは現実に戻ってると思っちゃったと言われたので、
「アニメーションが続く」という言葉をいれたと思うんですけど、
やっぱり小さい一言なんですけど、入れると入れないでは全然違うなと思ったり。

それと、「夜声八丁」。
運転しながら夜声八丁を思い出すシーンがあるじゃないですか、
実際妄想の老婆の人が頭に浮かんで、思い出して怖くなっちゃって、
駐車場でお母さんが夜声八丁みたいな状況で待っていると。苦労しました。
ごちゃごちゃ、老婆がいるとか、白髪の老婆が座っているとか、
見ている人と同じタイミングでなるべく笑ってもらいたいたいなと、
とりあえず「夜声八丁!」とガイドしました。・・・と思ったらミツエさんだったと。
後から付け足す手法で。

P:聞いてました。
全編通して登場人物が多いんですね、この作品。そこらへんのバラバラとしている所の面白さを
程よく組み合わせて出来てますので、でるシーンが少ない割にビジュアルとしてみた時の面白さとか
おかしさというのはそこに乗っけるようにしてますから、
ちょっとこれも表現しにくかったんじゃないかと。実際尺がすくないから。

あとアニメーションの部分。
これは最初の台本にはなくてですね、今日いらっしゃってますけど遊佐さんがつくっていただいて。
これも冬の撮影の直前にですね。頭付けようということになりまして。
そこでご苦労なさって割と間に合ったと言うかですね。仕上げの所ではなかなか大変な思いをして、
でも、あれがやっぱりあるから本編に入る導入部分もばっちりになったかなと思っているし、
そこを音声ガイドでうまく表現できていたなぁと思っておりますね。導入の仕方もですね。

ま:これは岡野さんとしても動かすのは初めてですか?

P:そうですね。アニメーションにするというのは去年の夏の撮影が終わってから思ってたんですけれども、
その為に色々と本を変えないといけないという作業を年末ぎりぎりまでやっておりまして、
そこでどこかアニメーションしてくださるとこないかな、と言う所に勇気を振り絞って
手を挙げてくださったのが遊佐さんでして、非常に無理を言って作ったという所もある、
思い出がある冒頭シーンですね。

ま:綺麗でしたよね。
あのアニメーションの中で老婆のミツエさんの目がブルーなんですよね。
最初私は、解説で入れるとわけが分からなくなるからスルーしようかなと思ったんですよ。
原作を読んでいない時点から書き始めていたので、
書いてる最中に慌てて原作を読んだらあったんですね。ちゃんとその事が。
その一遍を紹介させてもらっていいですか?

母の目の青い小箱と言う章がありまして。
緑内障の症状がある母。
右目の瞳孔には青い小箱がある。

「おーいユウイチよー。
こんなかには今まで見てきたもんが全部入っとるよー。
だけん、もう何もかんも忘れてしもてもよかろー。」

「よかさ、生きてさえおれば。何ば忘れてもよかさ。」

という。
それがアニメで表現されているんだなと分かりましたので。
「青みがかった瞳の〜」という風に書き換えました。

P:よかったです。

ま:何でもほめる。

P:あのエピソードも割と新しめのエピソードでしたからね。
青い目の中の小箱なんて、実写で表現しにくいので、
アニメーションであれが出来てよかったと思っているし、音声でも伝えられてよかったなと。

ま:苦労したシーンの一つでガレージセール。
初見はまずお客さんと同じで自分が書く事を考えずに楽しむんですけど、
その時には別に田舎の空き地を使った片隅でああいうものがあっても違和感なくみてたんですよ。で
も実際書こうとしたら、この状況何なんだっけ?ていう、あれは実景なんですか?なんなんですか?

P:それは森崎東監督と言う、強烈な思いが最初にほとばしったシーンでして。
ロケハンに行ってた時に一連の駐車場でお母さんととのシーンを撮る所はここですよ。
とお話ししてたんですが、ちょうどそのとき、ご近所で家でいらないものを売ってらっしゃるのを
監督が見て、

あれがやりたい!
これを是非やりたいんだ!

とですね。
思いついちゃったんですね。

そうするとですね、それを準備するのに美術部も「これいるよな」といわれて
「いりますね!」みたいになっちゃって。
だから、あそこに何の脈絡もなく入っているのは、監督が何の脈絡もなく入れたいと言ったからなんです。
そこで理屈をつけようとするとなかなか難しくなってしまうので、あれは監督の発想なんですよ。と。

ま:なるほど。こっちも理由を付けなきゃいけないっていう話でもないので、
とにかくさりげなく入れなきゃいけない、さりげなく伝える。みたいな。

P:森崎監督も喜んでいらっしゃると思いますよ。
あそこ、いるかと言ったらいらないシーンでもありますからですね。
でも、そういう無駄というものが映画を作っていくと思ってますし。
理屈なんかいらないんだ!監督が欲しいって言ったんだ!という現場の熱い空気が伝われるシーンだ
と思っております。

ま:主婦がやり取りする以上、私としては伝えないといけないので、
巻き戻してはじろじろ見て、金銭のやり取りしてる感じしないよね。とか一人で研究していました。

P:最初にラッシュで見た時のおばさんのやり取りがナチュラルな長崎弁がですね、
どこの役者ですかと。
良い芝居してるなと思ったら実際そこらへんにいたおばさんだったというですね。

ま:すごい、今謎が解けてすっきりしました。ありがとうございます。
実景という話が出たんですけど、いくつか長崎の風景とかは全部実景、
本当の景色をそのまま出していたという事ですよね。
丸いギターは?

P:桶ギターはですね。
実際に岡野さんが使ってらっしゃるヤイリのギター。
今は製造が終わっているという貴重なギターですね。
桶を使って制作されているんでユニークな感じがして、
あれをタマネギに似たペコロス型のギターと表現したのは、
お、うまいなまつたかさん。と思いました。とりあえず褒めときました。

ま:あと、お母さんの寝顔を描くシーンも岡野さんの手だけを実際に。

P:実際に岡野さんに左手だけここは出してもらってですね。あそこで、左利きなの?って
気づいた方もいらっしゃるかと思いますね。

ま:そうなんですよ。
左利きっていう尺がなくて言えなかったんですけど、左利きなんですよね。
最後に出てくる岡野さんの写真でも左にペンを持って。
あと、歌も岡野さんの実際の。

P:そうなんです。一生懸命岩松了さん練習なさったんですけど、
どうしても甲高いキーが合わなくてですね。
僕らは聞いた事あるんでちょっと違和感あるかなって思ったんですけど、
初見の方で違和感感じた方いらっしゃいましたか?
そういう意見を多々頂いたものですから、本人の声でいっちゃおうみたいな。

ま:でも、歌ってる感じとか、本当にあそこで声だしてる風な表情だったり。

P:実はリテイクしておりましてですね。
夏撮った時はちゃんと歌ったバージョンだったんですけど。
結果差し替えると言う形に落ち着きましてですね。

ま:でも、ナチュラルに。岩松さんのも見たかったですけど、ナチュラルに仕上がっていたとは思います。

P:今回、もう一ついいたいのは、音楽が非常に良くついたんじゃないかなと。
画だけでちょっと物足りなかった所に音楽が載って、
最後の流れも母のワルツから来て一青窈ちゃんの「霞道」になっていく流れの
最後だけど、うまく流れていたかなと。ありがたかったかな。
もしよかったらCDも出ておりますので、サントラの方買っていただけたらいいかなと。是非。

ま:短い間でしたけど、こうやって音声ガイドを付けての上映というのは、
まだ年間日本で800本くらい公開されている中の、多分ちょっと増えて7.8本とかの状況ですので、
みなさん晴眼者(目の見えている方)でも、こういった取り組みなどに出会うことありましたら、
協力的になっていただけるといいかな。と、思っております。
というわけで、音声ガイド押しのトークでしたけれども、お付き合いいただきありがとうございました。

Pーありがとうございました。
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